「噛めること」にこだわる

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コラム

2016.02.15

「噛めること」にこだわる

歯が存在するのに咀嚼できない状態はつくりたくない

天然歯を残すことを決して否定するつもりはありませんが、天然歯を残すことがどんな場合でも良いかと言えば、必ずしもそうとは言えません。

例えば高齢の患者さまに対し、放置しておけば間もなく抜けてしまうであろう歯を残すことに成功したとします。しかし、歯を残すことが出来たものの、さきいかやたくあんが歯べられなかったり、歯は残っているけれど咀嚼が出来ていない状態を思い浮かべてください。

グラグラの歯は存在するものの、咀嚼が出来ない状態では、自分の口で満足に食事をすることはできません。何より大切なことは、歯を残すことではなく、「ガチッ」と噛める状態を綺麗につくり、それを生涯にわたって維持することなのです。

実際のケースとして、他院で歯を残す治療をされた経験のある患者さまが、インプラント治療をご希望されて当院へいらっしゃいました。その患者さまは他院で7年をかけて治療されましたが、ご自身の歯がもったのは治療後の3年間だけで、その後噛むことができなくなりました。
そして当院でインプラント治療を行い、9ヶ月でガチッと噛めるようになり、たいへん喜んでくださいました。

インプラント治療の目的は、歯を元通りの状態に戻すことではありません。義手や義足の目的と同じで、本来の機能、すなわちガチッと噛める状態を維持することが最大の目的です。この目的を叶えることこそ、患者さまが本当に喜んでくださる治療だと考えています。

世界の潮流に照らし合わせると、私たちの考え方は格好が良くないのかもしれません。しかし私たちは、世界の潮流や単一の分野の観点に捕われることなく、患者さまの立場に立って、生涯の健康な咀嚼を真摯に考えたいのです。

インプラント治療の臨床実感

これまで多くの天然⻭の温存、そしてインプラント治療を行ってきた臨床実感として、天然歯の温存に時間やお金をかけて苦労していただくよりも、最初からインプラント治療を選択した方が生涯を通して歯科に通う時間やコストを削減できるケースが多いと感じています。インプラントはまだ開発されて40年あまりの歴史ではあるものの、インプラント治療をした歯は、両どなりの天然歯よりも長期にわたって持つケースも多いのです。

実際、当院はコンピュータガイデッドサージェーリー(コンピュータシミュレーション・3Dプリンタで作成したガイドを用い、歯茎を切り開くことなくインプラントを埋入する術式)を活用したインプラント治療を行っており、手術の内容によっては、治療開始から最短3回の通院でガチッと噛むことができるようになります。最近ではこのような技術を活用することで、これまで以上に低侵襲な治療(できる限り痛ませず、腫れさせず、時間をかけず、患者さまの負担を最⼩限にとどめる治療)を実現することが可能となっています。

とくに高齢の患者さまにおいては、自分の歯をなんとか残す治療を行うために、治療が終わるまで何年もかかってしまっては駄目なのです。それゆえ高齢で、歯と歯肉のコンディションが厳しい患者さまには、インプラントをお勧めするケースが比較的多くなっています。